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体外受精の過程で早期排卵を防ぐには?

排卵の仕組みを理解する
卵胞が成長するにつれ、エストロゲンが下垂体を刺激してLH(排卵検査薬で検出されるホルモン)を分泌させます。LHの値がピークに達すると(強陽性)、約24時間後に排卵が起こります。これは、排卵検査薬で強陽性から弱陽性に変わるタイミングです。

早期排卵(プレ排卵)とは?
早期排卵とは、予定より早く卵子が排出される現象を指します。この場合、予定していた採卵が間に合わず、卵子を回収できません。採卵数が少なくなればなるほど、体外受精に進めるチャンスも減少し、排出されてしまった卵子は貴重な妊娠機会を失うことになります。

体外受精でのモニタリングはなぜ重要か
卵胞の成長だけでなく、LH値を血液検査でモニタリングすることが非常に重要です。排卵の兆候を早期に察知し、採卵前の排卵を防ぐためです。

医師の指示通りに通院し、適切なタイミングで排卵誘発剤を打つことで、最大限の卵子を採取することが可能になります。

なぜ早期排卵が起きるのか
通常は1個の卵胞のエストロゲン値が300〜400 pg/mLに達すると、下垂体が刺激され、自然排卵の準備が始まります。

体外受精では、複数の卵胞を同時に育てるため、仮に5個の卵胞の合計エストロゲンが300〜400 pg/mLに達した場合、下垂体が「1個の卵胞が成熟した」と誤解して、排卵指令を出してしまうことがあります。その結果、まだ成熟していない複数の卵子が早く排出され、採卵の時には間に合わなくなってしまいます。

体外受精での早期排卵の予防法
下垂体からのLHシグナルを抑制する薬や注射を使用します。これにより、LH値の上昇を防ぎ、採卵前に卵子が排出されてしまうのを避けられます。

もし早期排卵が起きたら?
現在使われている排卵抑制法は非常に安定しており、早期排卵はほとんど発生しません。通院時に早期排卵が見つかった場合、医師の判断で採卵日を前倒しすることがあります。

また、卵管が通っている場合は、体外受精から人工授精(IUI)に切り替えることも可能です。

早期排卵は体外受精では問題になりますが、人工授精ではそこまで深刻な影響を与えません。むしろ、タイミングを見て自然排卵に合わせることもあります。

早期排卵による影響を最小限に抑えるには
次の2つの方法が効果的です:

  • 薬で下垂体の働きを抑えて、LHの急上昇を防ぐ。
  • 定期的に通院し、医師としっかりコミュニケーションを取る。

治療の成功率を下げないためにも、医師の指示に従い、注射や通院モニタリングをきちんと行いましょう。どの卵子も、かけがえのない妊娠のチャンスです。

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