PGS (着床前染色体スクリーニング)とは、体外受精技術を用いて卵子と精子を体外で受精させ、胚に発育させる方法です。胚が5~7日目に発育し、胚盤胞(Blastocyst)になった際に、外側の栄養外胚葉細胞から一部を採取し、分析します。その後、胚を凍結保存し、次世代シーケンシングの結果で胚が正常な倍数体(Euploid)であるか確認後、医師が正常な染色体の胚を選び、適切な時期に解凍・移植します。染色体数の異常は体外受精の失敗原因として最も多く、この検査により着床率と妊娠率の向上、流産率の低下が期待され、先天性異常や遺伝病を持つ子どもの出生を防ぐことにもつながります。
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PGSの適応対象:
- 高齢女性(35歳以上)
- 複数回の胚移植失敗
- 原因不明の反復流産
- 染色体異常の家族歴
- 染色体異常の胎児を出産した経験がある方
Q&A
PGSの結果はどのくらいで分かりますか?
検体提出後、約10〜14営業日かかります。
胚移植前にPGSを行っていたら、妊娠後に他の検査は必要ありませんか?
胚移植前にPGSを行っていたら、妊娠後に他の検査は必要ありませんか?
胚は体内で発育中に突然変異を起こす可能性があるため、また栄養外胚葉と内部細胞塊の染色体に差異がある場合もあり、PGSのみで全てを確認することはできません。染色体の微細欠失(10MB未満)、単一遺伝子疾患、染色体再編成、逆位、小領域の平衡型転座、モザイク異常、平衡型転座、多倍体などは検出できないため、妊娠中に羊水検査やNIPTの実施が推奨されます。
PGSで遺伝性疾患の有無は分かりますか?
両親が遺伝性疾患の保因者であったり、遺伝疾患のある子を出産したことがある場合は、体外受精と併せてPGT-M(単一遺伝子疾患に対する着床前診断)を行うことで、リスクを軽減できます。高齢出産を考えている方はPGSを勧められることが多いですが、PGSを行えば必ず健康な赤ちゃんが生まれるというのは誤解です。全ての検査には限界があり、検査機関や担当者によって結果に差異が出る可能性もあります。PGSを受ける前に、その限界についてよく理解しておくことが大切です。